その6 新鬼ヶ島前編後編 (任天堂) ディスク 1987.09.04,1987.09.30

タイトル
タイトル画面
この雰囲気。大好きだ。
ぶっきらぼうなどんべ、大人びたひかり
©1987 NINTENDO
昔話度:あたたたた  ひかり萌え度:あたたた  理不尽度:ほわっちゃー


純和風、紙芝居風アドベンチャー

任天堂のこの後も脈々と受け継がれることになるテキストアドベンチャーの第1弾です。前編後編と二つに分けられて発売しました。ウィンドウである巻物が小気味よく動き、パッパッと絵が変わっていき、紙芝居を見ているようにプレイできます。タイトルからして「桃太郎」のゲームかと思いますが、違います。どんなものかあえて言うなら「昔話のごった煮」。日本の昔話なら何でもあり、といった感じで節操なく取り込んでおります(笑)。みんな知ってる話なのですんなり入り込めそうです。



おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、

とこんなくだりでゲームはスタートします。まんまなじみ深い、昔あった「マンガ日本昔話」みたいですね。当時それをみてその後「クイズダービー」を見ていたような私にとってはものすごく郷愁感を感じるゲームなんです。これに加えてまた音楽がイイんです。それっぽい音楽でGooD。どことなくもの悲しい音楽が好きな私としては四章の音楽が気に入っています。



見た目とは裏腹に超ハード

こんなゲームなんだから、小学生でもプレイできるゲームだと思うでしょ?ところがどっこい、見た目とは裏腹に凶悪な難易度を誇るゲームです。まず何をするにもフラグありきな点。ある場所であることをやってないと先に進めなかったり、そういうのが多々あります。毎章必ずと言っていいほど迷います。エスパーな人でないとサクサク進むことはできません。これが際だっていたのが後編最初の五章。マップが広く、何をすればいいのかわからずマップ内を行ったり来たり。ほとんど泣きそうになります。

そしてつまった時の最後の手段がコマンド総当たり。これがつらい。すべての可能性をしらみつぶしに調べて行かなきゃなりません。相当な忍耐力を必要とされます。その分解き方がわかったときは喜びも格別であったのもたしかですが。まるで憑き物がとれたかのようにすっきりします(^^;。しかし今思ってもこの難易度はないだろうと思います。当時これをクリアできた人はそうとうな忍耐力があると思われます。



おしてみなよ…

このゲームのもう一つの難しいと思われるポイントは選択肢を間違えたら速攻でゲームオーバーにされる点。はっきり言って理不尽です。個人的に思い出深いのがラスボスとの戦いの時。その時にいきなり「おしてみなよ」と選択肢が現れるんですね。そんなこと言われたら普通押したくなるじゃないですか、純真な子供なら。そしたらゲームオーバーですよ。自ら誘っておいて鬼のような仕打ちです。ここで引っかかっているのを見て笑っている制作者の顔が浮かんできます(笑)。このゲームで猜疑心が芽生えた子供は少なからずいると思われます。ちなみにここでの正解は「おしてみなよ」が現れても何もせず耐えることです。2,3秒待てば物語が進行します。でも、子供って2,3秒が待てないんですよね(^^;

このようなゲームオーバーになるブービートラップがこのゲームではこれでもかと盛り込まれております。ほとんど制作者の悪意すら感じられます。制作者の方は作ってる最中何かいやなことでもあったんでしょうか。



愛すべきキャラ、天狗のてんちゃん

システムはあれですがこのゲームには味のあるキャラばかりがそろっています。その中でも天狗のてんちゃんが個人的には好きです。ものすごいせっぱ詰まったある章である裏技を使うと「てんちゃんのなぞなぞこーなー」というのがいきなり始まります。それまでの緊張感を根底からぶちこわす、まったりとした空間が突如として訪れます。なぞなぞ、というかクイズですが、新鬼ヶ島に関する難問が出題されます。そしてなぞなぞに全問正解するとある重要な情報を教えてもらえます。教えてもらえるんですが…。いやこれはどんな情報を教えてもらえるかは各人で確認してみてください。全章を通してプレイしてきたプレイヤーなら思わず「○ねッ!」とか口走ってしまうこと請け合いです。こんなてんちゃんですが、どんべやひかりたちを救ったりもする、新鬼ヶ島にはなくてはならないキャラなんです。そんな愛すべき名物キャラ、てんちゃんに幸あれ。

てんちゃんのなぞなぞこーなー




日本人ならわかる、かな

はっきりいってこき下ろしていますが私はこのゲームが大好きです。日本人ならわかる、このゲームの独特の雰囲気、昔話チックなBGM。言葉にするのは難しいですが独特な優しさがあります。今の子供たちにはわからないかもしれませんが、私と同年代の方には忙しい毎日をちょっとだけ抜けて、まったりとプレーしてもらいたいゲームです。今はディスクの入手は難しく、書き換えも終了してしまっているのでSFC版でプレイするのがいいでしょう。SFC版にもおまけとしてディスク版が収録されています。



新鬼ヶ島の思い出

ディスク全盛期の頃、あちこちのおもちゃ売り場にディスクライターというディスクシステムの書き換えの機械がおいてありました。が、うちの最寄りのディスクライターはド田舎なもんで自宅から12,3キロ離れたジャスコでした。中学生くらいの時はチャリこいでそこら辺まで行ったりしてましたが、さすがに小学生の時分では無理があります。新しいゲームはやりたいが、新品は高い。さぁこまった。

で、私はどうしたかというと…。近所のスーパーのおもちゃ売り場で書き換えしてもらってました。なんだ近くにあるんじゃないか、と思ったそこのあなた。ちょっと、いやだいぶ違うんです。

そのおもちゃ売り場にはかすかな記憶によると村山元総理に似た怪しいおっさんが一人。奥にはディスクシステムが上下に2台重ねられておいてあります。今考えるに滅茶苦茶怪しい機械ですが、私はこれで書き換えてもらっていました。上にのディスクシステムに書き換え元のディスクを、下には私が持参してきたディスクをそれぞれセット。今思うと書き換えじゃなくて完璧なコピーです(笑)。しかし近くにディスクライターのない田舎の少年はこの怪しいおやじにすがっていたわけです…。

しかし激しいつっこみどころが一カ所。なんと料金が600円でした。はっきりと憶えています。しかも説明書をくれないというあくどさ。(ディスクライターでの書き換えなら500円の書き換え料で説明書をくれる)。完璧にガキどもからぼったくっています。そんなぼったくりおやじでしたが私は足繁く通って何度も書き換えしてもらっていました。程なくしてその店はつぶれてしまいましたが、あのおやじと怪しい機械がどうなったのかちょっとだけ気になります(笑)


攻略サイト:鬼ヶ島

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